感想続き、ようやく完結

第二幕 プルーストの地獄のイメージ
幕開けの導入部分の音楽は動物の謝肉祭の耳の長い登場人物。
第八場 つかまえられないものを見つめるシャルリュス男爵
サン=ルーの伯父でもあるシャルリュス男爵は青年ヴァイオリニストのモレルに一目ぼれする。惜しみない愛情表現と賛辞を与えるが、モレルは、まるでシャルリュスなど目に入ってないかのよう。黒い衣装のモレル、まわるまわる〜。シャルリュスも姿は老けてるけど(笑)、コミカルに細かいステップをふんで音楽的にも印象的。一番、作品中盛り上がるシーン。シャルリュスには7日、ヴァラストロ、8日、ルグリ、9日、ウエット。これは断然、ルグリが素晴らしい! 貴族の威厳を持ちながらユーモラスで悲哀も感じさせる。音楽性も素晴らしく言うことなし。今、この役を踊らせたらルグリの右に出るものはいないでしょう。モレルは3日ともに、ビュリヨン。ペッシュも観たかった。 音楽は、ベートーベンの弦楽四重奏第14番op.131のpresto。


Cleveland Quartet - Beethoven: String Quartets, Op. 127 & Op. 131 - String Quartet No. 14 in C-Sharp Minor, Op. 131: V. Presto

第九場 不可能なるものに打ち負かされたシャルリュス男爵
賞賛するアイドル、モレルの本当の姿は放蕩者。売春宿で女たちに囲まれている。それをみたシャルリュスは唖然とするばかり。売春婦たちはカルメンの酒場の女にも似てプティ流のコケットたち。モレルはその場に君臨する王様のよう。モレルはシャルリュスに目撃されても動じる気配すらなく堂々としていて、まるで見せつけるかのようにガウンを脱ぐんだよね。モレル役には肉体的な美しさも必要ってこと。ビュイヨンは、とても色白で彫刻みたいで良いけど、頭がちょっと大きかったのが残念。
音楽はサン=サーンスのバイオリンと管弦楽のためのハバネラ。


Charles Dutoit, Kyung Wha Chung & Royal Philharmonic Orchestra - Saint-Sa!)ns: Danse Macabre - Havanaise, Op. 83

第十場 シャルリュス男爵の地獄
語り手はある宿屋で、シャルリュス男爵が男達にむち打たれている現場を観てしまう。男爵の秘密の快楽の場を目撃するという小説中でも最もショッキングなシーン。プティの作品では、同性愛、マゾヒズムというあやしい空気はあまり感じさせず、ひたすら暴力的。シャルリュス男爵は殴られ、蹴られ、ボロボロになります。このシーン、激しいし怪我するんじゃないかとハラハラしてしまいます。よれよれになってもルグリは素敵でした。ヴァラストロは、ほんとに情けないくらいよれよれ、ウエットはまだいたぶり足りない感じ(笑)
音楽はサン=サーンスの英雄行進曲。


Charles Dutoit & Philharmonia Orchestra - Saint-Sa!)ns: Danse Macabre - Marche H!)ro!)que in E Flat, Op. 34

第十一場 見知らぬ者との偶然の出会い
暗闇の中で知らない人同士が出会い、暗闇であるから解放感があり一種の幸福がもたらされる。カタコンブの暗闇の儀式のように。とのことですが、女性一人、男性三人がシルエットライトの中でおどるこの場面は、人間の肉体の美しさ、それが織りなす様々は形に人々が出会う偶然、喜び、エロティシズムなどを見いだすことができますが、カタコンブは??。ドミニアク、ブシュのシルエットが美しかった〜。 音楽はドビュッシーのハープと管弦楽のための舞曲。


Cleveland Orchestra, Lisa Wellbaum & Pierre Boulez - Ravel: Sh!)h!)razade & Debussy: Ballades de Villon - Danses for Harp and Orchestra: II. Danse profane

第十二場 モレルとサン=ルー または天使たちの戦い
これは前述しました。

第十三場 この死の観念
社交界墓所の扉に見えるという。憧れの女性ゲルマント夫人が死のイメージである。これまで登場した人物が次々に舞台上に現れる。記憶が走馬灯のように流れるかのように。社交界の人々はみな死人のようなメイクで動きもゾンビみたい。今生きているはずの人々にむしろ死を感じ、過去の記憶が鮮やかだといっているかのよう。このシーン、天井から降りてくる大きな鏡が映し出す世界は幻想的で美しいんだけど、ダンスそのものは魅力なし。ゲルマント夫人役にカリスマがないと舞台が引き締まらない〜。ただ、腕を動かしてるだけみたいだった。残念〜。群舞の振り付けもゾンビダンスだし、最後が盛り上がりに欠けるなぁと思ってしまった。
音楽は、ワーグナーの歌劇リエンツィの序曲から抜粋。


Mariss Jansons & Oslo Philharmonic Orchestra - Wagner: Overtures and Preludes from the Operas - Rienzi - Overture: Allegro energico