シンデレラ

K-Balletのシンデレラプロモートのためのクローズドイベントに参加してきました。
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シンデレラの抜粋の映像を見た後、松岡さん、宮尾さんがTBSのアナウンサーの安東さんの司会のもとに質問に答えて行く形でトークショウが始まりました。少ししてから衣装制作をされている林なつこさんも登場しました。

松岡さん、宮尾さんからは、シンデレラの見どころなどのお話が。
「絵本を開いた時のようにおとぎ話として展開される世界やステップの音楽性の表現、継母と姉たちのコミカルなシーンなどが見どころ」と松岡さんがおっしゃてました。宮尾さんは、「舞台美術含めてトータルで完成された世界観を見て欲しい」と。
ふむふむ、確かにKの作品は、ファンタジックな舞台美術がそこにある別の世界を創り出してますよね。毎回見応えあるわ〜と感じます。そしてダンサーの方々がその世界の中で生き生きと踊っている。群舞の方であっても皆さん、役を生きてらっしゃる。


松尾さん、宮尾さんのお話も面白かったのですが、私は林なつこさんのお話が大変興味深かったです。
生地1枚1枚をご自身の工房でムラ染めされていること、ダンサーそれぞれの好みに合わせたフィッティング、照明により色映りが変わるので色だしが大変なことなどなど。
そして林さんは独学で衣装制作の技術を身に付けられたとおっしゃってました。スゴイ!日本に専門で勉強できる場がなかったこともあるようです。一般の服飾のお仕事の経験はなく、ずーっと衣装制作をされているそうです。素晴らしい〜。会場にも衣装2点とヨランダさんのデザイン画が展示してありました。デザイン画から衣装を作り上げるのって二次元の紙の上でもイメージを3次元の形あるものにしていく作業なわけで、素材の質感、色、立体にした場合のフォルムのバランス、装飾の大きさetc.でき上がったものを見てしまうと、デザイン画のイメージ通りで当たり前のようにも思ってしまいますが、すごく難しいことなのではないかと。シンデレラのために用意した衣装の数は役150着だそうで、そこに何人の方の手が係わったかわかりませんが、その仕事量を想像して少し頭がクラっと来ました。

林さんはシンデレラが変身して美しいドレスを身に付けた時のキラキラ感にご自身も感動されてトリハダものだそうですよ!熊川さんにも褒められたそうです。林さんのお話を伺っていたらやっぱり見なきゃ〜!!って気持ちになりました。
完璧主義の熊川さんが、気合い込めて創造する舞台、本気のこもった舞台ですからね。
馬車に乗ってK-Balletの繰り広げるおとぎの国に行きますかね?

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確かにK-Balletはくるみの時も思いましたが、しばしファンタジーの世界に連れて行ってくれます。松岡さんがおっしゃっていた通りです。確か、熊川さんも自分の作品を作る時に同じようなことを考えて創ったということをお話されていたと記憶しています。そういう意味では狙い通り。老若男女楽しめる完成度だと思います。・・・ただ、ですね。私はちょっとここに物足りなさを感じているのです。というのもおとぎ話や童話も読み取りようによっては色々な意味をそこに見いだせるものもあると思うのです。古典バレエ作品でも色々なヴァージョンがあり、同じ物語のようで様々な読み取り方ができる作品もあります。私個人の趣味では、その読み取りをあれやこれや考えるのが面白いと感じているところがあって、ダンサーが変わると違う物語が見えてきたりするのも面白いので、絵本の世界が3次元ビジュアルで展開されるワクワク感だけではちょっと物足りない時もあります。1度目はそのスペクタキュラーな魅力に心を動かされるのですが、リピートの動機付けには結びつきにくい。踊り手にすごく魅力を感じていれば複数回足を運ぶのですが。
偉そうなことを書いてますが、今後のKはその辺りが課題かなと思うのです。ポスト熊川の存在はおいそれとは現れません。であれば、作品で勝負しないと、、。熊川版古典は美術や音楽性など完成度が高いと思います。だけど、古典の再振り付けであっても古典の読み直しではないので、物語の魅力としてはよく知ったストーリーを準えるだけになっている印象なのです。物語を伝えるという力はすごくあるんですよね、だからこそちょっと残念。
熊川さんは特別の思い入れのあるダンサーの一人です。ロイヤル時代からずっと応援してきまして、おそらく殆どの舞台に足を運んでいると思います。ロイヤルで最後に踊った海賊とライモンダも見に行きました。スポレートにも、、。それが私の海外バレエ鑑賞の初めの一歩でもあります。熊川さんのバレエ人生を見届けようと思っています。だからこそ、これからのKのことは色々気掛かりです。がんばれ〜、クマちゃん。