K-Ballet、ジゼル

ヴィヴィアナ・デュランテの怪我で東野さんが代役として踊っている今回の公演。観てまいりました。
まずは熊川さんの古典全幕作品での復帰が何よりうれしい。下半身の筋肉もバランスよくついていて怪我する前よりたくましくなった印象です。怪我後と思えない安定したテクニックを見せてくれてファンには嬉しい限りです。
これまでは自分の怪我、続いて代役を踊った橋本さんの怪我、今度はパートナーの怪我です。熊川さんが今度のことでもきっとつらい思いをされたことと思います。舞台上でも彼の気持ちが伝わります。踊っている間、東野さんを懸命にリードしていく熊川さんの表情を見ればその集中力がわかります。何か胸が痛くなってしまいました。
東野さんも頑張っていたと思います。可愛らしい雰囲気はジゼルに合っていると思うし、元々キャスティングされていましたから、準備はある程度できていたんだと思います。でも急な代役でしかも連日の公演はこれまでにない経験でかなりのプレッシャーだと思います。本当に一生懸命で一つ一つの踊り、演技をこなしている感じです。残念ながらまだ東野さんのジゼルと言えるものにはなっていませんが、今後、回を重ねて自分のものにしていってもらいたい。狂乱の場など、どうもヴィヴィのジゼルの影響が強い気がしてしまいましたが、絶対東野さんには東野さんのジゼルがあるはずです。演劇性の強いKではなおのこと、物語として、一人の人間としての性格づけに基づいた一貫性のある演技が要求されると思います。本当に頑張って欲しい。熊川さんの熱意と気迫に押されることなく、彼の作り出すジゼルワールドの中に上手に入って行って欲しい。頑張れ!東野泰子!!そんな気持ちになってしまって、公演を楽しむというより応援しに行った感じです。