シュツットガルトバレエ眠り

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先に観に行った友人からとても良かったという感想を聞いていたので、期待にワクワクしながら行きました。そしてもちろん大満足で帰って来ました。
フォーゲルの王子も観たかったのですが、バランキエヴィッチのカラボスの日を選びました。レイリーのカラボスがどんなだったかも気になるのですが、バランキエヴィッチのカラボスは充分素敵でした。きれいでどこか悲しいカラボスでした。いや、ホント、プロローグで色々な精が出てきますが、その中の誰よりも美しかった。バランキエヴィッチは化粧が映えます。もっと怖かったりオドロオドロしくても良いのかもしれませんが、美しいだけに悲しい。オーロラの成長を見守りながら呪いを実現させるチャンスを願っている姿も、どこかにオーロラへの歪んだ愛が潜んでいることを感じてしまう。普通カラボスは3幕で倒されたらもう登場しませんが、このハイデ版は3幕にも登場します。カラボスの孤独、または、虎視眈々とまた呪いを賭けるチャンスを狙っている様の表現ともとれますが、人間の心の底にある驕りを常に戒めているかのようでもあります。単なるハッピーエンドではないという、その辺が巧みな現代的演出です。
王子のラドメイカーも王子らしいキャラで好ましかったです。他にも男性ダンサーは魅力的な方が全体に多かった印象です。
舞台美術も基本のセットは変わらず、背景や付け加えられる蔦やシャンデリアで場面展開を表現します。照明も秀逸。オーロラが眠りにつく場面では、全体がセピアっぽいモノトーンの世界に変わるのにカラボスの周りだけ色を出したり、観客の視線をどこに注目させるかを明確にしています。うーん、面白い〜。
1幕で各国の王子が登場しますが、オーロラが目覚めた後も舞台上にいるヴァージョンは初めてのような気が。彼らにしてみれば、100年もたって目覚めても自分の国に戻れるかどうかも微妙だし、どうなるの〜?おまけにオーロラ姫は他の若造に奪われちゃったよ〜。と、2幕が終わった時は彼らの心配をしてしまった(笑)。でもね、3幕にもちゃんと登場し来賓として扱われてましたし、勝手な解釈ですが、宝石の精たちと結ばれるというオチだったのか、と納得したのでした。童話の主人公たちも一般的なヴァージョンより大勢登場。緑色の人間もいるのです〜。カエルの王子なのかえんどう豆なのか不明。宝石の精たちと踊るアリ・ババも不思議〜。長靴を履いた猫をバシバシひっぱたく気の強い猫ちゃんも笑いを誘ってました。
古典の本質をはずさず、上手く現代風にアレンジされている上質のエンタテイメントとして完成されている作品でした。シュツットガルトバレエは本当に素晴らしいレパートリーを持っているカンパニーだと思います。
次はオネーギン。私はまたまたバランキエヴィッチ狙いで最終日を選んでいますが、もう一日追加した気持ちになっています。どっちの日を追加しよっかな〜。