芸術祭十月大歌舞伎

昨日は久しぶりに歌舞伎鑑賞に行ってきました。歌舞伎座にて、演目と配役は、以下。

一、本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)
十種香
 八重垣姫    玉三郎
 武田勝頼    菊之助
 白須賀六郎   松 緑
 原小文治    権十郎
 長尾謙信    團 蔵
 腰元濡衣    福 助

狐火
 八重垣姫    玉三郎
 人形遣い    尾上右 近

二、雪暮夜入谷畦道(ゆきのゆうべいりやのあぜみち)
直侍
浄瑠璃「忍逢春雪解」
 片岡直次郎   菊五郎
 三千歳     菊之助
 寮番喜兵衛   家 橘
 暗闇の丑松   團 蔵
 丈賀      田之助

三、英執着獅子(はなぶさしゅうじゃくじし)
傾城後に獅子の精    福 助

実家の母が歌舞伎好きなので一年に一回くらい観に行くのですが、2年前に菊之助の弁天小僧を見て以来、菊之助ファンになりました。艶やかで声も通って美しい〜。今回は菊之助がニ演目に出るのと、玉三郎の狐火も観たかったんで、夜の部をチョイス。
歌舞伎座って劇場がお江戸を楽しむためのテーマパークみたいで楽しい。母は開演前のお土産ショッピングも歌舞伎鑑賞コースに入っているようなもんです。もっと早く開場してほしいけど、昼、夜の二回公演なんで、役者さんや美術さんも大変よねー。お弁当の予約をすると却って時間に制約ができちゃうので、今回はおにぎりとりょくけんのサラダを買って劇場に入りました。座席で飲食可というのも文化の違いを感じる。バレエなんて絶対だめだもん。オーチャードホールなんてビュッフェ以外で飲み物飲むのもご法度だもんね。少々高いけど、桟敷席でおこたでほっこりしたがら歌舞伎鑑賞もしてみたい〜。
玉三郎が出ると、舞台の空気を一気に持っていってしまいますね。福助もきれいだなって思っていたけど上手の玉三郎の側の障子が開いたら、そこだけスポットライトが当たったみたい。衣装のせいもあるかもしれないけど、やはりオーラです、あれは。我が君、菊之助も霞んでしまう・・。玉様はタダモノじゃないな、人間じゃないみたいだ。もうかれこれ20年以上前だけど、玉三郎と今の仁左衛門四谷怪談をやった時、顔がいわゆる”お岩さん’状態に腫れ上がっているのにこの上なく美しかった玉三郎。演技とか役作りっていう言葉さえ陳腐になっちゃうんだよね。久しぶりの玉様はさすがにお年をめしましたが、指先まで神経を研ぎ澄まし絶妙な間と呼吸で踊り、そして静止する。この静止が日本の美学だわ〜、と改めて感心しました。首や肩の角度、背丈の魅せ方、どれを取っても完璧。後ろの席の方が「玉三郎は背も高くないし、女形として丁度いいわね」みたいに言ってましたが、違うんですよー、背が高く見せないように膝を折っているのですよー、と口を挟みたくなっちゃいました。
菊之助は、今回の三千歳はお父さんの菊五郎演ずる直次郎とのからみがあったけど、菊五郎より背の高い菊之助くんは、立って並ぶシーンでの身長の調節には多少苦労が見え、直次郎より大きくなったり小さくなったりしてました(^^;。でもでも、良いんです。菊之助には何かしらすぅっと一本筋の通った清やかなでしなやかな勢いを感じるのです。このまま素直に芸を磨いて欲しい。何よりあの艶やかさは天性のものです。天性ものを感じる、と言えば、海老蔵ですが、彼は才能はあるのにまだまだ演ずるということがわかってないのでは?と思わせるところがあります。才能も華もあるんですから、謙虚に精進してほしい。いずれ立派な役者になるはずの方です。
来月は国立劇場で新作歌舞伎「江戸宵闇妖鉤爪」を観賞予定です。新橋演舞場の若手中心の花形歌舞伎も気になるなー。久々に海老様観てみますかね。