ローラン・プティのコッペリア

新国立での初日に行ってきました。
感想は、まず、ルシア・ラカッラはプティ作品で観るべき!ということ。 今日の舞台は、ラカッラに始まりラカッラに終わったと言っても過言ではないでしょう。もちろん、コッペリウスのボニーノもフランツのピエールも含め、主役3人(特にスワニルダとコッペリウスの2人)の力がそろわないとこの作品の魅力は出ないのだけど、もう、ダントツ、ラカッラの魅力全開!! ピエールはいつもラカッラがいると漏れなくついてくるオマケ的存在だったのが、今回はソロで踊るところも多く、楽しそうに踊っていて彼個人のキャラクターが伝わり好印象。でもまあ、やっぱりラカッラの相手として観ちゃう今までの印象以上のものはなかったのが正直なところ。ボニーノはあいかわらず器用にチャップリンしてました。コミカルな味を出すのは彼の真骨頂なので良いのだけど、コッペリウスというのはコミカルなだけじゃだめなのだ。格好良くってミステリアスでちょっと変質的で、なおかつ悲哀がないとー!!ま、予想の範疇だったのでいいのだけど、言いたくなっちゃうのでした。
ラカッラはふつうの古典作品だとアクが強い感じなっちゃって違和感がある。2年前のエトワール・ガラで、エルヴェと白鳥の2幕を踊ったけど、首の角度とか肩の動かし方とか手首の曲げ方とか「ちがーう!」って思って集中できなかった。せっかくエルヴェと踊っているのにー。でもって存在感がすごくあるからエルヴェが添え物(シリルみたく)のようになってしまって悲しかった。つくづくエルヴェはガラ向きじゃないと思ったわ(とは言ってもアッツォーニと踊ったシルヴィアは良かった(^^) )。イリと踊った椿姫の黒衣のパ・ド・ドゥもテクニックはすごいのにぜんまい仕掛けの人形のようだった・・病に冒された弱々しくも熱い身体の表現ではなかった。今、思えば、コッペリアだったんですね、彼女の踊りは。そう、あの手、腕、肩、背中、足、すべてプティ作品を踊るためのものと思えば、納得するのです。
帰宅してから、プティがコッペリウスを踊ったマルセイユ・バレエのビデオを久しぶりに見ました。ビデオのスワニルダは、ラカッラを観た後ではもう観る気が失せて早送り。で、プティのとこだけ観て、今日の舞台と頭の中で合体させたのでした。