感想続き、、

第三場 さんざし、または素敵な言葉
語り手にとっていくつかの言葉が特別な意味と感覚を引き起こす事の一つ。初恋の相手、ジルベルトとの出会いもこのさんざしの木々の間だった。このシーンはさんざしの花を思わせる白い花のようなものが天井からつるされ、パラソルを持った少女たちが踊る。その中の1人がスワンとオデットの娘、ジルベルト。キャストは、7,9日がスーパーバレエレッスンでおなじみのロレーヌ・レヴィ。8日がフルステーでした。二人とも愛らしく好印象でした。特にレヴィ、8日は群舞にいたけど、つい目が彼女を捕らえてしまうのです。ラインもきれいだし、姫オーラも感じます。将来期待大です。音楽は、セザール・フランクのピアノとオーケストラのためのバラードop.19。これ、ネットで検索しても見つからないです。

第四場 カトレアをする、または情熱のメタファー
この踊り、私は大好きになりました。カトレアをするはスワンとオデットの愛の営みの比喩だけれど、この場面ではとスワンの恋そのものが描かれる。胸元に赤いカトレアをさした艶やかなオデットと少し神経質で知的な印象のあるスワン。愛の告白と成就、嫉妬と諦めなど様々なな感情が巧みに描かれていました。キャストは手元にあるキャスト表では、7,8日がグリンツタジンとルノー、9日がグラニエとブシュになってるけど、7日もブシュだったと思います。私はブシュのダンディさが気に入りました。音楽はサン=サーンスのハープとオーケストラのための演奏会用小作品。iTunes Storeで見つからず。CDショプで探してみる予定。美しいハープの音色が耳に残ってます。

第五場 花咲く乙女たち、または魅了されたバカンス
海辺の町バルベック美しい少女たちを見かける。溌剌としてきらきらしている彼女たちを見つめる語り手の目は恋するもののそれではなく、標本や美術品の品定めをするかのよう。白い衣装を着た少女たちはアルベルチーヌを中心に踊る。そして、舞台奥を2度、白い帽子をかぶった語り手が通りすぎます。まなざしはするどく少女たちに向けられています。キャストは7,9日はアルベルチーヌがシアラヴォラ、語り手がルグリ。8日がアルベルチーヌがアバニャート、語り手がモロー。どちらも甲乙つけがたい、違った魅力がありました。少女のきらきら感はやはり若さのあるアバニャートが上をいき、シアラヴォラの端正な美しさはまるで古い映画のヒロインのようなのです。モローはフォルムの美しさが際立ち、白い帽子がはまりすぎてやや野暮ったく見えてしまうくらい(笑) 黒目がちな瞳の力は大きく、視線の先にいるアルベルチーヌを捕らえて放さないことが良く伝わりました。ルグリは指し出すつま先の動きの一つ一つがもう神の域。これから起こるドラマを予感させていました。

音楽はドビュッシーの海(第二楽章の波の嫐れ?)です。
Claude Debussy, Gerard Schwarz - Debussy Prelude to the Afternoon of a Faun, Nocturnes, la Mer, Musically Speaking - Debussy la Mer, II Jeux de Vagues

第六場 アルベルチーヌとアンドレ、または誘惑に囚われて
花咲く乙女たちの一人、アンドレが一人舞台に残り、スカートのすそを整えます。そこに戻ってきたアルベルチーヌとふたりはキスを交わしたり、ゆるややにふれあいながら踊る。語り手を奈落の底に突き落とし、狂気へと導いたサッフォーの末裔たちの姿である。それほどリアルではないけれど、はっきりと同性愛を連想させるシーン。少女たちの好奇心が外見上の清らかさとは裏腹のあやしさが顔を出している。何かな、あまり私はこのシーンは好きではないわ。俗な感じが否めない。

音楽は、ドビュッシーのシランクス、フルート独奏。
Emmanuel Pahud - Pahud: Debussy, Ravel & Prokofiev - Syrinx (La Flute De Pan) for Solo Flute, L. 129