ベジャールのアレポ
初めて観る作品です。面白かった!!ルグリ先生はギエムと踊ったと語っていました。NHKのテキストにも書いてあったけど、オペラ座をひっくり返した事件のこと。スキャンダラスなことに興味を持つのは少々下品かしらと思うけれど、ヌレエフとベジャールという二人の天才の間で起きた出来事というと別ものということで。
「モーリス・ベジャール回想録、誰のための人生か?」でベジャール自身がこのことについて触れています。「ヌレエフと私とを2,3年にもわたって引き裂いたあの一件が悔やまれてしかたない」と。また、「第三者がこの悶着を引き起こした」と。・・真実はどうであれ、天才たちは恋愛をするみたいにお互いの芸術性に惚れ込み、接近し、その結果、距離が近すぎたために拒絶の反応も大きくなった印象があります。勝手な想像ですが、惚れ込んでいたのはベジャールの方で、ベジャールの自己愛を満たすには、ヌレエフはくせ者すぎたのではないかしら?もう一人の天才振付家ローラン・プティの「ヌレエフとの密なる時」でもこの事件と関係する記述があります。当時、ヌレエフとプティも冷戦状態にあったらしく、ヌレエフの精神状態の危うさが事の発端である可能性は高いかも。プティとヌレエフも蜜月が存在したようだけど、ベジャールとのそれより対等で、ある意味健全な感じ。ベジャールはやはり対人関係の距離の取り方とか愛情の対象選択とか不安定なところがあるのかも。作品を見てもそうですよね。人間のプリミティヴなところで作り上げているし。それだからこそ魅力も生まれるというもの。
「アレポ」は事件を起こしたけど、エトワールを二人も任命したくなるほどベジャールはこのオペラ座との仕事に満足したはず。素晴らしい作品が生まれたのに全体の再演されないことが残念です。
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