K-ballet「ロミオとジュリエット」

昨日から始まったK-Balletの新プロジェクト。公式サイトはこちら
熊川さんの怪我後初の全幕ものの再振付作品です。すでに名版が存在している作品を全てオリジナルで振付し直すのって大変な作業だったでしょうね。全体として登場人物の性格づけやストーリー展開は大変わかりやすくできていたと思います。Kらしい新たな設定もあったり。欲を言えばいろいろあるんですけど、公演自体は成功だと思います。
ジュリエットをゲストで踊ったロベルタ・マルケスは大変かわいらしく、演技もとても上手かった。ジュリエットそのものの魅力があって熊川さんとのバランスも良かったです。熊川さんのロミオは意外に紳士的でした。個人的にはもっとやんちゃでも良かったかな?マルケスと踊ると彼女の初々しさに誘われて恋する十代の若者になっていました。
ネタバレになっちゃうのであまり書けませんが、ロザラインがたくさん踊るのは特徴的だと思います。ロミオとジュリエットという作品はジュリエット以外は女性ソリストの踊りってないですもんね。せっかくのKの女性プリンシパルの出番が少ないんじゃもったいないのでこういう工夫を考えたのかな、などと思ってみたり。個人的にはキュピレット家の舞踏会に忍び込む前の悪ガキ3人が踊る所が好きなんで、ここにロザラインがからんできたのはイマイチでした。
橋本さんのマキューシオも好演だったと思います。彼のキャラクターにはこの役は合ってますね。ベンヴォーリオの伊坂さんも頑張ってました。私のお気に入りの遅沢さんは本日はティボルト。も少しアクが強くても良いかな。お髭は顎の方にもあっても良いかと。今後、もっと濃い演技をしてくれる事に期待します。私は彼のロミオも観る予定でーす。
構成は2幕ものになっていて、ふつうの2幕と3幕を続けて65分で上演されました。場面展開はマクミラン版とかとだいたい同じだと思うのですけど、どこか短縮されているんですねー。広場のシーンとか短かった気がするし。ちょっとラストの二人が命を絶つシーンは物足りなかった気もします。わりとあっさり死んじゃった感じ。ジュリエットが死んだと思ったロミオがジュリエットを何度も抱き起こしながら踊るマクミラン版が好きなもんで。
DVDの発売も予定されているようです。マルケスで録画かな?映像に残るのは良いのですが、もう少し上演回数を重ねて振付や演出を練ってからでも良いようにも思います。きっともっと良くなると思いますよ。
しかし、こうして振り返ってみるとついつい他の版と比較してしまう。そんなこと頭から吹き飛んじゃうような作品にすることって本当に難しいことなんだと思います。そんなリスクのあることにチャレンジする熊川さんには感服します。