帰国しました

昨日、帰ってきました。
元々風邪をひいていて充分良くならない状態で出かけたのですが、イサベル&エルヴェのオネーギンを観た後、体調を崩してしまいました。4日はラデュレでランチしたり昼過ぎまではうろうろ歩き回っていたのですが、夕方、何となく咽がまた痛くなってゾクゾク寒気がし始めたのです。”新型インフルエンザ”の文字が脳裏をよぎり、このまま高熱が出て下がらなかったら帰国の時にどうなるのだろうか、と珍しく?弱気になってしまいました。これまで37℃台の熱では平気で動き回っていたのですが、もし検疫にひっかかったら周囲に迷惑をかけると考え大事を取ることにしました。・・・、そんなわけでドロテ&ジョゼ組のオネーギンはパスしたのであります。無念じゃ〜っ(;_;)。
結局、熱は一晩で治まり、咽の痛みも良くなりました。これまた珍しく手持ちの抗生物質もしっかり飲みました。旅先で、一人でいる時に具合が悪くなるって経験は初めてだったので、心細さを感じました。情けないことに夫に電話しようかと迷ったり、、、。眠れば楽になると思っても、そういう時ってなかなか眠れないので、しかたないので本を読むことにしました。本に集中していたら弱気な気分も紛れて自然に眠くなり、その後はぐっすり眠れました。翌朝は熱も下がっているし、気分も良くって、どうして昨夜はあんなに弱気だったのか不思議なくらい(^^;。我ながら立ち直りが早い。
その後は日中はあまり出歩かずにのんびり過ごしました。夜になってもまた熱が上がることはなく、残り5,6,7日の公演は無事に観ることができました。旅行前も、何かと忙しく、睡眠不足が続いていました。旅行中にのんびりしようと思っていたのが、こんな結果になるとは! やはり睡眠は大事だと改めて感じました。
公演の感想も少しづつ書いていこうと思っています。今日はとりあえず簡単に。
オレリー&ニコラ組が大変素晴らしかった。ニコラはいわゆるオネーギンのイメージとは違っていましたが、人間味あふれる人物像を作り上げていました。何より、演ずることと踊ることが一体になっていることに驚かされ、改めて考えるとドラマティックな作品を踊るニコラを観るのが初めてだったことに気付きました。これまでガラでパ・ド・ドゥを踊るのは観た事が何度もありますが、全幕で観るのが初めて。オレリーも大変素晴らしく、二人の化学反応が起こっていたのだと思います。エトワールの舞台を観た、という満足感がありました。
ニコラのオネーギンはとってもチャーミングだったのです。陰鬱な変わり物ではなかったけど、レンスキーには弟のような親しさを感じているようだったし、ふてぶてしさの中に包容力を感じてしまうオネーギンでした。タチアナの夢の場面では笑顔で踊り、オルガにちょっかいを出すところもニコニコしながらからかっているという風情で、悪気がないのが良くわかるのです。レンスキーがそれを見て必要以上に反応してめらめらと嫉妬の炎を燃やすというのも、彼の思い込みの激しい直情的な性格が却ってよく表されている気がしました。6日も7日もレンスキーはマチアスでしたが、ルグリとマチアスだと戦う前からマチアスの負けは決まっているみたいなものですから(ルグリ@オネーギンはレンスキーを含めてあまりにも周囲との存在感が違っていました。彼は王の風格なので)、よりドラマティックな盛り上がりを演出していたと思います。
ニコラ褒めまくり状態ですが、ほんと、良かったんです。7日の舞台を観て、エルヴェはまだまだだなぁと思ってしまった。今、原作を読み返しているところですが、むしろ原作に近いのはエルヴェのオネーギンだと思います。ニコラのヒューマンドラマ:オネーギンは特別だと思うけど、作品を自分の色に染める事が出来る力がすごいと思ったのです。
ルグリはどうだったのかというと、、。相手役がとても大切な事を痛感しました。オスタ、ダメすぎ。辛口を通り越して悪口みたいになってしまうのでいやですが、タチアナ役に大切な内面からくる気品が感じられない。所作が美しくない。一生懸命演技はしてるのだけど。もともとルグリの存在感が先ほど書いたように王者の風格なので、彼の存在だけが浮いてしまうのです。ルグリはあまりはっきりとした演技をしないので、余計に立派な踊りが空回りに見えてしまいました。ルグリの作り出すオネーギンに呼応するタチアナと踊っていたら違って見えたと思います。とても残念です。
少しだけと思っていましたが、結構長くなってしまいました。今夜はこのへんで・・。