パキータ@北京、雑感

今日は公演の感想を思いつくまま・・。またまた長いです。
ブルーの軍服エルヴェについて。今までこの衣装では映像に残っているジョゼと来日公演の時のジェレミーで見てるけどこの二人も雰囲気が全然違うけど、エルヴェはどちらかというとジョゼに近いかな?将校というより王子の雰囲気。父親が将軍であり伯爵でもある人だからノーブルであってしかるべきです。あのブルーって若さを強調する色でもあると思うけどエルヴェが着るとクールさとメランコリーを感じさせました。ドンナ・セラフィナとの結婚が気が進まないのにお義理で手にキスをするあたりの表現がなんともいえず良かった〜。礼儀正しいけど冷たいキス。
パキータに出会ってからの愛の表現は、まっしぐらでちょっと照れる(^^;。一幕一場の終わりの方でパキータが一人テントの前に座ってるところにリュシアンが近寄ってくるところなんて迷いがなく一途すぎ!でもエルヴェの感情表現ってけして熱くないんだよね。秘めたる想い、蒼い情熱って感じです。一場の最後にパキータからのメッセージだと騙されたリュシアンがマントを翻して走っていく後ろ姿も惚れ惚れでした。でも17日にはここで剣が落ちちゃったんだよね・・残念。
二場のジプシーの住処のシーンは、コミカルな演技も必要でパキータとの掛け合いも見どころ。コミカルエルヴェってどうかと思ったけど、自然な演技でとっても良かった。”Je ne sais pas〜(x_x)ゞ.”なマイムも笑いを取ってました。しっかりもののパキータに助けられるちょっとおマヌケなおぼっちゃまな感じでちょっと可愛かったです。毎度のことながらパケットは憎めないイニゴを好演。17日ソワレはビュヨンだったけどパケットの愛嬌のあるイニゴが良かったです。
一方ドロテですが、一番気にいったのは、1幕一場でイニゴに暴力を振るわれそうになってちょっとイニゴをなぐさめてから表情を一変させてイニゴの周りで踊るシーン。イニゴに多少気を使ってご機嫌を取るものの一瞬にして本来高貴な身分であるはずの気高さを表現しているように感じたのです。ビデオのルテステュよりダンスも表情もくっきりとしていて対比が素晴らしい。この場面、私は少々解釈に苦しむのです。パキータがイニゴに媚を売っているかのようにも見えるからです。ジプシーの集団の中で育ったとしたらそれもしかたないことだと思うんですけど。ま、もしかしたらこんなこと考える必要もないくらいのたわいないストーリー設定なのかもしれません。
だいたい、戦争が行われ死者がたくさん出た場所にやって来て、現地のジプシーに無抵抗に恋しちゃうってあり得ないじゃないですか。ま、ロマンティックバレエですから、異国情緒が大切なんで細かいことはナシです。ストーリーはなんちゃって、ですが、パキータというバレエは踊りが満載なので楽しい作品だと思います。
メンズ達のスパニッシュ隊もかっこいいし、2幕の将校さん達もかなり踊りがハードで見せ場がたくさん。女子もしかり、です。音楽的にはイマイチですが、わかりやすいリズムとメロディは馴染みやすいです。私の頭の中ではパ・ド・トロワやグラン・パの音楽がリピートしています。
そうそう、パ・ド・トロワですが、16日はユレル、フルステー、ティボー。17日は、。ティボーが降板してしまったのは残念でしたが、初日のトロワ隊、確かにイマイチだったのです。ティボーが本調子じゃなかったこともあるのですが、フルステーってマイペースな踊りをするし、ティボーとユレルのリズムも合わないしバラバラだったのです。そのせいか17日マチネのズスペルギー、ダヤノヴァ、ブシュ組が少し地味ですが、きっちり踊っていてパ・ド・ドロワらしくて好印象だったのです。ソワレではユレル、フルステー、ブシュでした(ダンソマニEnyaさんが書き込んで下さっている情報、違っていると思います。17日ソワレのドンナ・セラフィナもシアラヴォラでした)が、初日よりそろっていてフルステー節が多少抑えられていた印象です。2幕のグラン・パでも女性ダンサーが二人で手をつないで踊るところでフルステーが相変わらずだったんだけど17日のソワレには大分修正されてましたから練習したんでしょうか。
フルステーって良くも悪くも目立つんですよね。すごい力を持ってると思いますよ。フルステーがいないとつまらなくなっちゃいますもん。日本でもおなじみのローラ・エケもいましたが精彩に欠けました。ちょっと太っちゃったみたいでせっかくスタイルが良いのに残念です。想像ですが今はモチベーションが下がってるんでしょう。才能がある方だと思うのできっと復活すると思います。
目立ったと言えば、17日のマチネ、ソワレともに二人の将校を踊ったマニュネとドミニャックは素敵でした。16日はブシュとベルトランでしたが、ブシュはまあ良かったんだけどベルトランがね・・。もういっぱいいっぱいな感じで大変そうでした。17日の若者コンビはもう溌剌としていて爽やか〜。ルックスもお二人とも美しいので私は大満足でした。エルヴェの次に私の目カメラはこの二人にファーカスが合ってましたねー。
二幕にパキータの出生がわかって衣装を着替えてからリュシアンと踊るパ・ド・ドゥがこの上なく素晴らしかったです。特に17日ソワレ。エルヴェのサポートも良くドロテの美しさが際立ちました。終わった時にブラボーの声がかかり私もちょい興奮しました。・・となりのおじさんが呆れてみてました。こちらは、おじさん、ちゃんと拍手しよーよ、おしゃべりばっかしてないでさー、ちゃんと見てよね!と、無言の抗議の意味をこめて拍手がんがんしましたよ。
グラン・パのラスト近く、リュシアンがシェネっていうんでしたっけ?回転しながら移動してくる技ありますよね?、その時のエルヴェ、回転も早いしダンスが終盤で乗ってきている感じが伝わって来たんです。高揚しているエルヴェって珍しい〜。ほぉぉ〜っ。
パキータってアレグロの踊りも多いし、早いステップを踏むエルヴェってあんまり見たことがないから新鮮でした。何となくアダージョのイメージなんで、アレグロエルヴェにドキドキ♪ちゃんと踊れるかな〜と少々心配も・・。切れ味良くとまでは行きませんが音楽性も豊かにふわっ、クルって感じでしょうか。何やらディズニーアニメの動きを見ているようでもありました。そしてあくまでもエレガント・・。嗚呼、溜め息ものです。足がきれいなのは言うまでもないのですが、今回アームスの美しさも改めて認識しました。いやぁ、褒めてばかりで我ながらファンバカ状態ですね。