ノイマイヤー「人魚姫」雑感

一つのバレエ作品を見終わって、その周辺の色々なことを調べたくなることがあります。音楽、原作、原作の作者、作品ができた時代背景などなど。今回はアンデルセンについて、です。
幼い頃からアンデルセンの童話はとても身近なものでした。いわさきちひろさんの絵本を何度も読んだ思い出があります。

曾野綾子さんの文章だったんですね。”海の泡となって”という表現があったような記憶があります。
このノイマイヤーと「人魚姫」は、その泡のようなお話とはちょっと趣が違いました。よりリアルに人魚姫の、詩人の苦悩が迫ってきました。この詩人は他でもないアンデルセン本人のようです。アンデルセンの心象が詩人に投影され、詩人の心が人魚姫に姿を変えるという設定です。予備知識のない私には王子=エドヴァート、王女=ヘンリエッテってのが何だかわからなかったんですけど、どうやらこの二人は実在の人物で、エドヴァートという方はアンデルセンの片思いのお相手だったそうです。そう言えばどこかで読んだと思い、昨年のダンマガ11月号のノイマイヤー特集を引っ張り出して来ました。この辺りのことは「アンデルセンーある語り手の生涯」ヴォルシュレガー著が参考になりそうです。プログラムの中でも取り上げられています。
アンデルセン―ある語り手の生涯

アンデルセン―ある語り手の生涯

ちょぴっと調べただけですけど、ノイマイヤーのその感性と作品を作り上げていく緻密さに毎度のことながら驚き、改めて感動してしまいます。感じたことをそのままに表現するのではなく、大変知的な作業を通し、ダンスという言語を使い多くのひとに伝わる芸術に仕上げていくことは、どんなに膨大なエネルギーを要することか。ブレない感受性が余計なものをそぎ落とし、説明しすぎることもなく、時には激しく、時にはしんしんと雪が積もるように観る人の心に何かしらを刻みつけるのです。ノイマイヤー作品、もっともっと観たいです。
話は変わりますが、第2幕で使われていた照明はルイスポールセンみたいでした。やっぱりデンマーク繋がりってことで? いやー、美術もとっても良かったです。日本人としては、海の魔法使いの隈取とラメラメ袴はどうよ?と少々ツッコミを入れたくはなりますが。ま、黒子軍団は格好良かったし許せました(^_^)。あ、あの黒子くん達、途中でシースルー袴に衣替えしてましたよね?海人たちの衣装や動きも面白かったし。しみじみもう一回観たいな〜。
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